人相術辞典       【ま】

『人相術辞典  天童観相塾より』           【ま】

 

〔麻衣〕              (まい)。      人名。  麻衣老祖、    麻衣仙人、   麻衣(まえ)道人とも言われる。  仙伝の人相術を陳摶(ちんたん)に授ける。   「崋山石室は乃ち麻衣老祖が修道の地なり。 後には希夷も亦た此処に隠れたり」   二百歳近く生きたという。   日本の役の行者の渡唐後に麻衣と呼ばれたともいう。  

〔睫〕            (まぶち・しょう)。      「睫はマブチ、 目の縁である、 その場所は眼瞼(まぶた)の端の粘膜部のホンの一小部分、  横に長い一線でこれも目に従って上下に別つ(上睫、下睫)」   

〔睫毛〕               (まつげ・しょうもう)。    睫毛はまつ毛(げ)のこと、  睫部から外方に向かって眼肉を保護するために生えたる毛、 昔から目には豪末を見るも而かも其の睫を見ずと、 ある様に他の毛は自分に見ゆるが、 自分の睫毛は見えないものである。 人のより多少の差はあるが二三ケ月で順次に生え変わるので、 同一人物の目の内にも多いことも少ない時もあるのだが、 あまり目にもつかず気にもならない」   

〔眉〕            (まゆ)。    詳しくは保寿官(ほじゅかん)を見よ。    「眉は目と合わせては、 眉目(みめ)かたちと呼ばれるだけに、  顔中で第一最初の造作と言っても宜(よ)からう」

〔眉卓似刀〕               (まゆたかくたちかたなににる)。     『眉の卓くたち刀に似たるは、 陣に亡び兵に死なむ』    眉卓くとは、  眉形が立ち上れること也。  女子にもあり多く死に際わるき也。  陣亡兵死は必ずしも軍のことにあらず、 旅行中に災難にあひ、 または喧嘩などして人に敲(たたか)れて死ぬ也、 兵の字は打ちたゝかるの意あり。 眉が四十五度以上に立ち上がっている者は、 剣難の相の一つ。   眼光が凶暴であれば悪死は免れない。  

〔眉払天倉〕             (まゆのてんそうをはらう)。     『眉の天倉払へるは、 出入貴に近し』   「眉の天倉を払ふとは、 眉尻を箒に見立てゝ払うといひたるにて、 眉の長きことの形容なり。  出入(しゅつにゅう)貴に近しとは、 出ては将軍、入りては大臣という立場で、 貴人に近づく大した人物のこと。  

〔眉不蓋眼〕             (まゆのめをおおはざる)。    『眉の目を蓋はざるは、 財親離散の人なり』   「眉の長さが目の長さよりも短いこと、 それは財産にも親身のものにも、 二つ乍(なが)ら離散し去る也」   義経の眉がこの眉だった由。     

〔眉抽二尾〕            (まゆにびにぬける)。     「眉尻の方平面に二本に別れてある眉のこと、 この人一生平安にして歓楽的で満足な生活を送るといふだけ、 必ずしも花酒に親しむといふわけはあらず。  眉尻が二つに分かれていることで、 「眉に二角を生ずる」とは別物。  

〔眉縮〕             (まゆしゅく)。   眉を顰(ひそ)めること。   「眉を八字によせる、 眉に皺を寄せひそめること」     「縮々とは形容詞で顰縮の意。 眉に皺をよせひそめることである」  苦労、弧独の相の一つ。  『心無愁眉縮々』 (こころにうれいなくしてまゆはしゅくしゅく)。 『心に愁ひ無くして眉は縮々、 老いて弧単を見ん』  悲しいことも無いのに、 悲しそうに眉を顰めるのは、  歳が寄ってから弧独になるという意味。  何時も顰めているのも、 ふとした時に顰めるのも大体は同じ意味。   「壮年の時は兎に角、 五十過ぎには子に先立たれ又は他に別居し、 六七十になっては単りぼっちになる」   

〔眉粗眼悪〕             (まゆそにしてめあしき)。    『眉粗にして眼悪しきは、 頻数に夫を刑す』   「眉毛太く粗雑にして眼形悪しく見にくき女は、 頻数(ひんすう)は頻(しき)りにシバシバ也、 夫を刑するであらう」  刑するは逆らい傷めること。  

〔眉秀神和〕               (まゆひいでてしんわす)。    『眉秀でゝ神和す、 須らく閒雅ありと知るべし』   「眉は秀でゝ眼神の柔和なるは、 閑雅(かんが)の生活を送る人なり。  「(眉が)秀づるとは日出づる也、  (眉形が)始めに下より上に昇り、 終りに下る勢あり、 皮面より立ち上がり離るゝものなり。   皮面にヒッつきたる、 或は毛生一方に偏する散毫、 逆毛又は濃濁等は皆不可」    

〔眉不秀〕              (まゆひいでざる)。    『識なく能なきは、 只双眉の秀でざるが為なり』    「識能(しきのう)なきはといふに同じ、  ソレは只だ左右両眉の秀でない詐りだ、  (眉が)秀づるとは日出づる也、  (毛並みが)始めに下とり上に昇り、 終わりに下る勢あり、 皮面より立ち上がり離るゝもの也。   皮面にヒッつきたる、 或は毛生一方に偏する散毫(さんごう)、 逆毛又は濃濁等は皆不可、 或は能あれば識なく或は識あれば能なきなり」   眉が秀でるとは秀眉(しゅうび)のこと

〔満面悲容〕                 (まんめんひよう)。     『貧にして恒の難あるは、 只だ満面の悲容あるに因る』     「俗にいふ御難つづきのこと、 ソレは要もなき泣き面を仕て居るからであると」    いつも悲しいことが続くのは、 悲しそうな顔をしているから、 憂い顔であるだからだと。