『人相術辞典 天童観相塾より』 【に】
〔肉色軽浮〕 (にくしょくけいふ)。 肉が軽く色が浮いて、 顔の肉が緩く顔色が締まらずに薄く桜色のこと。 『面皮虚薄』を兼ねている。 『肉色の軽浮なるは、 前四九如何んが過ぎむ』 『肉色軽浮』の者は、 どうして三十六歳を過ぎることができようか。 四×九(しく)は三十六歳。 前はその前に死ぬだろうという意味。
〔肉地浮濁〕 (にくぢふだく)。 『肉地に浮濁あれば、 肥えたるも何ぞ誇るに足らむ』 「肉付き地肌のこと、 浮濁はブヨブヨしたる様をいふ」 「肥えて軟なること骨なしの如きは、 肥え太りたりとも幅をきかせるには足りない。 それは命夭の素質であるから。 近時凡医の説には、 肉は柔軟なるを可とすといふものが、 一概には信ずべからず。 カタブトリなるを賞美す」 肥えて貫禄がある様に見えても、 ブヨブヨした肉付きでは大したことはない。
〔二顴高凸〕 (にけんたかくとっする)。 『二顴高く凸しては、 夫を刑すること未だ期年に了らず』 「左右の二顴が左右に高く凸出してるのは、 期年は一年にもならぬに夫を刑するといふ。 嫁が来て八九月で息子が死ぬなどは此の類也」 二顴は左右の顴骨、 頬骨のこと。
〔日角・月角〕 (にっかく・げっかく)。 額中央部左右の部位。 男は左が日角、 右が月角。 女は逆。 主として父母との縁、 父母の安否鑑定する部位。 日角は父、 月角は母。
〔日月角聳〕 (にちげつかくそびえる)。 『日月角の聳えたるは、 必らず明君を佐けむ』 「日月角の骨気が判然と隆起したものは出世栄達して、 必らず明君を佐(たす)くる地位に達するだろう」 天庭は額の中央の少し上。 その左右の日月角が隆起している人は、 明君を補佐する立場になる相。 『龍骨の天を挿むは、 応(まさ)に宰輔と成るべし』 と大体は同じ。
〔二眉散乱〕 (にびさんらん)。 『二眉の散乱するは、 須らく聚散の不常なるを憂ふ』 「二眉は左右両眉をさす、 散乱は眉毛がバラバラに生えること也」 「聚散は物品貨物金銭の出入りと残と不足と、 常に概算的にでも一定の標準にならぬを憂ふるであらうと也」 聚散(しゅうさん)は収入と出費。 それが安定しない、 生活が安定しないという意味。
〔女人耳反〕 (にょにんのみみかえる)。 『女人の耳反るは、 亦(ま)た夫を刑するを主どる』 「女人には耳の廓(かく)反するもの多きも、 それは夫を刑するのである、 ソンマンの内。 亦の字は腋(わき)の下の意で二つのマタ也。 耳のソリ反れる女は男に反(そむ)き、 或は同時に二夫に接し、 また再嫁三婚するも平然たる也」 耳の部位は外輪、 内廓、 垂珠(すいじゅ・みみたぼ)。 廓は耳廓(じかく)のことで、 それが飛び出しているのを廓反ると云う。
〔人中〕 (にんちゅう)。 鼻と上唇の間の縦溝。 『河洫』 (こういき) とも言う。
〔人中平満〕 (にんちゅうへいまん)。 人中に肉が満ちて平らなこと。 人中が無いこと。 『鼻準の尖り垂るゝと、 人中の平満なるとは、 嗣続を刑すること之れ逃れ難し』 鼻の先が尖って垂れているのと、 人中が無い者は、 跡取りに縁が無いことは逃れ難い。
〔人中偏斜〕 (にんちゅうへんしゃ)。 『人中に偏斜あるは、 且(ま)た刑剋多し』 「人中は鮮明、 上の狭くして下方の広きを可とす、 勿論垂直形なるを要す。 細長偏曲なるは男女 性のクセ悪しく、 また多く児女を剋し失ひ、 不良の子をも生ずることある也。 時々に屈曲することあるは、 其の頃の於て不正の淫行あるか、 または児女に死なるヽことある也」 人中は子供のこと、 特に跡取りのことが現れる部位。 正常でなければ子供について問題がある。 女子は子宮と膣に関係ある部位。