人相術辞典 【さ】

『人相術辞典  天童観相塾より』   【さ】

 

〔腮〕  さい。   アギト。  耳の下のエラ、  腮骨(さいこつ)。  

〔腮見耳後〕   さいをじごにみる。    『腮を耳後に見るは、  心地狡貪なり』     (評訳) 腮は耳下の一角、   頤の突端であり則ちアギト、   魚ならば鰓(えら)なり、   この角は耳より垂直形なるを可とする、    耳下より後方に突出するか外方に発展するは良からず、   エゴにて欲張りなり。    鰻の鰓の如き多肉なるは垂腮という、  風字面ともいわれる    耳後(じご)は耳より後方。    心地(しんち)は心根。  狡貪(こうとん)はズル賢く欲張りのこと。  

〔腮骨〕  さいこつ。   腮

〔妻妾宮〕   さいしょうきゅう。    『妻妾は位を魚尾に居す。   号して奸門という。   光潤にして紋無きは身保(やす)く妻全(まった)し』   『婦女の魚尾奸門明潤なるは貴人を得て夫と為す』   魚尾(ぎょび)、   奸門(かんもん)は目尻のこと。   男は本人の左目尻が妻宮で夫婦宮、  右が妾宮で恋愛宮。   女はその逆。   夫婦の縁の良し悪し、  縁談恋愛のことなどが現れる部位。   十二宮の一つ。   夫婦宮、   恋愛宮ともいう。  

〔財星〕   ざいせい。    『鼻は乃ち財星、   中年の造化を管す』   『鼻は乃ち財星、   中五六年の休咎(きゅうく)に遇う』    (評訳)  鼻は中岳で疾厄宮ではあるが、  その肉付の工合は財運を見るので財星という、    本来は土星であり土は生産を主どる、   または肺の竅(きょう・穴)でもあり肺は金なる故に鼻は金財である。   中五六年とは五六の三十年に当たるというわけで、  乃ち三十才台一ぱい四十までの間という次第    ここでは鼻の流年を三十歳台としているが、  流年法には昔より種々あり。   鼻は財のことと中年の運命の状態を表している。    『流年』 を参照。  

〔採聴官〕   さいちょうかん。   耳。     『耳を採聴官と為す。   大小論ぜず、  正に輪郭分明を要す。   白きこと面を過ぎることを喜ぶ。  面に対して耳が見えず。    眉より高きこと一寸、  輪厚く郭堅く、    姿色紅潤、  内(耳の穴の中)に長毫(ちょうごう・堅く長い毛)あり、   孔に大小無し。   此れ 《採聴官の成る》 なり』   『輪飛び郭反るは好(よ)かざるの耳なり。   或は低小軟弱なるは、 此れ 《採聴官の成らざる》 なり。   少年(若い時)に利あらず(不運)して六親を損ず』  

『耳を採聴官となす。  耳は須らく色鮮やかなるを要す。    高く聳えること眉より過ぎ、   輪郭完成(輪と郭が整っている)し、  貼肉(ちょうにく・頭に貼りついている)し、    敦厚(とんこう・肉厚)にして、   風門(ふうもん・耳のい穴) 寛大なる者は、  之(これが揃うと)を 《採聴官成れり》 と謂う』   

『輪無く兼ねて反(耳が反り返る)薄ならば、  家を破り嚢(のう・財布)空し。   厚くして大、   肩に垂れるは極貴。    大貴にして寿長きを主どる。    竅内(きょうない・穴の中)に豪(ごう・豪毛)を生ずるは頭白老龍鐘(長寿)。    耳内に大痣(大きな黒子)あれば寿長く、   垂珠(すいしゅ・耳朶) 上がる(前に向く)は財有るを主どる。  暴焦色、  慘青色、  それ寿は永からず(耳の色が枯れ濁るは命は短いだろう)。   (流年)は左耳七年、 右八年。   男は左から、  女は右から始まる』  

『成敗(せいはい) は傾欹(けいい)による』   傾は欠くるなり、   欹は低き也。    破散と成敗を主どる』   『聡明なるは高く聳ゆ』    (解説) 高く聳ゆとは眉より高き也 

『皮・麄(そ)にして青黒なるは飄蓬(ひょうほう)なり』    (解説)  若し皮粗なると及(とも)に青黒色にして乾けるは、   一生南北に奔馳(ほんち)し、 他郷に散走し終に定基なきを主る

『色・瑩玉(えいぎょく) の如ければ、  年少(としわか) うして三公と作(な)る』    (解説)  耳に若し貴賤を問はば、   大小を取らず。   先づ色の鮮瑩にして白きを上と為すを要す

『貼肉(ちょうにく) 垂珠(すいしゅ)紅潤(こうじゅん)なるは、自然に財禄の亨通(きょうつう)あるを主どる』    (解説)  頭の側面に三十度の角度以内にて附くを良しとす。  

これを貼肉といふ。    面に対して耳を見ず。    紅潤(こうじゅん)とは垂珠の鮮沢なる也。    垂珠はミミタボ 

『若(も)しくは尖小にして直、  如(も)しくは箭羽(せんう)、  安(いずく)んぞ弧窮ならざるを得ん』    (解説)  尖小(尖り小さい)は弧貧を主どる。   箭羽(矢の羽)の如しとは、  其の耳形直竪(ちょくじゅ)にして矢翎(やれい)に似たる、   最も貧窮の相と為す。   十五歳にして男女並(とも)に妨財破敗を主どり、  長大(成長)してのち貧賤孤独たるの相たり

『命門(めいもん・風門の誤記ならんか) に指を入れ難きは、  寿元(じゅげん)慳短(けんたん)にして妄浅愚蒙(ぐもう)』     (解説) 命門は耳孔(じこう)也。  若し窄小にして小指尖を入れ難き者は愚頑にして短寿、  無知の人たるを主どる。   耳孔の針を容る(耳の孔の小さき事の形容)は、  家に一金無し。   耳門の墨の如きは二十の容たり、 夭寿也

『無輪にして兼ぬるに反薄なるは、  家破れ嚢空し』    (解説)  耳に輪無(輪郭が無い)く反り返って薄い。   薄は貧を主どる。  破産散亡 

『厚大にして方に垂るゝは極貴、  天年(天寿)八十を過ぎて方(まさ)に終らむ』    (解説)  耳の大きさ四寸、  高く聳え肩に垂るゝ者は大貴、 寿の長きを主どる。  

『只(ただ)是れ毫の竅(きょう・穴)に生ずるは、   頭白(とうはく)の老龍鐘(ろうりゅうしょう)』    (解説) 毫(ごう)は孔内に生ずる毫毛(ごうもう・堅い毛)也。  龍鐘は竹名、   其の曲頭垂れて地に向かふ。   若(も)し人、  耳毫(じごう)を生ずれば長寿を主る

〔財帛宮〕   ざいはくきゅう。    『鼻は乃ち財星、  位は土宿に居す』   『鼻は乃ち財星、  中年の造化を管す』    『聳直豊隆なるは、  一生財旺んにして富貴』  鼻を財星と言い、  財運と中年の運命を支配する。   十二宮の一つ。  

〔下がり目〕   (評訳)  尻下がりは老獪で融通の利くところもあるが、  中々利我を忘れることはない。   社交性に乏しくはないが心中常に濁気が絶えず、   不純な性でないとは言えない    下がり目で一見柔らかく見えても、  眼光が強ければ我見が強く常に問題を起こす。 

〔笹目〕  ささめ。    (評訳)   円大形であるのは笹目という程でなくとも、   幼稚で無邪気で、  また無思慮な所もあり、   世路に堪える才能は少ないものである   目頭が丸いのが笹目の特徴。   未進化型の目。  

〔三陰三陽〕   さんいんさんよう。    三陰は右眼下にあり  女子は左眼下。    三陽は左眼下にあり  女子は右眼下。   

〔三陰木多〕   さんいんのもくおおければ。     『三陰の木多ければ、  定めて須らく女を生むべし』    (評訳)  三陰は男は右下瞼、  女は左下瞼のこと。   この場合は三陰で三陽を兼ねていう。   乃ち左右の眼の下瞼を中心とした気色の意味。   木多しとは青い色。   それは女性を産む。   男女ともに同じ   左右の下瞼の色が青ければ、  女の子が生まれる相。   この判断は男女共に同じ。    『火多ければ男の生まれるを主どる』  人は赤い色。  眼下に赤い色多ければ男児出産の相、  相手の男にも現れる。 

〔三角眼〕  さんかくがん。     『目三角の如きは、  富めども詐り多きを主どる』    (評訳)  三角眼の者は富むだろうが詐りが多い    平生に三角眼の人は自分勝手のつよい、  また自分のためには可なり忍耐して労作にも従うが、  他のためには少しも仮借せず寛大のところはない。   三角眼は馬なら上等だが人にはよくない、   よく働き労作して得る所の少ない生涯を了る人である

〔三甲〕  さんこう。   肩から背にかけて肉付きが良いこと。  

〔三光明旺〕  さんこうめいおう。    『三光の明旺なるは、  財自ずから天より来る』     (評訳)  三光とは日月星にて両目と印堂のこと。   その三光の明旺なるものは幸運にて財自ずから天来の福ありという    印堂と両眼が明るく力があるのは、  財が自然に天より来る運命だ。   

〔三山光潤〕   さんざんこうじゅん。     『三山の光潤なるは、  万頃(ばんけい)の規模あり』     (評訳) 南岳である衡山(こうざん)の額部と、  東岳泰山(たいざん)の右顴と、 西岳華山(かざん)の左顴と合わせて三山という。    その光潤なるものは万頃は大仕掛け、   規模は仕事事業成績のソレがあるよとのこと。    三山光潤が三光(さんこう)の語源か。    但し三光は額と両眼のことに成る  

〔山根〕  さんこん。    十三部位の一つ。   命宮(めいきゅう・眉間) の下の部位。   両眼の間。   十二宮では疾厄宮。   

〔山根青黒〕   さんこんせいこく。     『山根の青黒なるは、  四九(しく)前後に定めて災多からん』    (評訳)  山根に青黒い気色がある人は三十六歳前後には必ず災難がある、    但し流年法にては山根は未だ三十六には成らず。    又三十六以後の人にこの相があれば如何との疑問も起こるなり、    別に考えざるべからず   この場合の青黒は皮下に固定したようにある色とする。   急に現れた色は近日中の吉凶を現す。   流年には諸説あり。   四九は四×九で三十六才。  

〔山根青色〕   さんこんせいしょく。     『山根の青色なるは、  胎(たい)を出でてより頻りに災厄あるを見る』    (評訳)  印堂の下の山根に青色の色が見える子供は、  出胎(しゅったい)は生まれるとスグの意味、   頻りに災いがあり、   命も危ない様な病気ばかりする    目と目の間が青い子共は、   生まれてからしょちゅう病気や災難があるという意味。    山根は胃と心臓の急所でもあるから、   虚弱な子供といえるが、   持病がないかも確認すること。    

〔山根薄削〕    さんこんはくさく。     『夭し更に多災なるは、  蓋(けだ)し謂(おも)うに山根薄削なればなり』     (評訳)  若死にするか又は災が多いのは、  山根の肉が痩せ削(そ)げたようにあるからだという     山根は眼と眼の間。   鼻を山に例えて山の根、  山根と云う。    山根が摘んだように薄いのは、  若死にで、  災いも多い相。    夭(よう)とは若死にのこと。   身体が弱い上に運命の浮沈が多く難儀が多い相ではある。  

〔山根不断〕   さんこんふだん。     『山根の不断なるは、  必らず賢夫を得ん』    (評訳)   山根不断は鼻すじのスッキリと通っていること、  山根には夫座妻座(ふざさいざ・部位名)がある、    乃ち女のためには夫座である、  その形の宜しいのは必らず夫運よろしきものとする    夫座妻座は山根の両脇にあたり目頭も含む。   鼻筋が高く通っているのは、  家柄、 家筋が良い相。   鼻筋は家筋、 背筋も家筋、   筋は筋を表している。   

〔山根黒子〕   さんこんにほくろある。     『山根に黒子あるは、 宿疾なくんば必ず夫を刑す』    (評訳)  山根の部位にあるホクロのこと、  真中ならず左右に寄れるものが多し、   女は多く右による、   右は則ち夫座(ふざ)なり、  夫を刑するなり、  コレはその本人に宿疾(しゅくしつ)がなければ、  必らず夫を刑すとあり    宿疾は持病。   山根は 『小人形法』 で肺か心臓か胃に相当するから、   この場合の持病は肺か胃か心臓の病気が多い。   女の場合は持病があるか夫運の悪いかのどちらかが中るという意味。  両方が的中することも多い。

〔三才〕   さんさい。    三停、 三主、 三表(さんぴょう)、 天地人。   才は働き。   天道 人道 地道、  天徳 人徳 地徳など。   

〔三質論〕   さんしつろん。    人相を生理的解剖的に分類したもので、  筋骨質、 栄養質、 心性質、 の三質を云う。    筋骨質は骨と筋肉の発達した相、   栄養質は肉と内臓器官の発達した相、   心性質は脳髄と神経の発達した相のこと。    筋骨には堅い強い角い締まる意志行動などの意味があり、   栄養質には丸い緩む円満休息などの意味があり、   心性質には思索、細い弱い神経質などの意味が導き出される。   それを性格と運命に当てはめて判断する。  

〔三主〕   さんしゅ。    三停(上停、 中停、 下停)、  三才(天、 人、 地)、 三表。    (解説) 初主、 中主、 晩主 という人生年比の区分の一。   初主は初年即ち七才より約二十年間のこと     初年、 中年、 晩年。    三停によってそれを区切る。   流年法には種々あるが、   水野南北先生は、  初年を二十歳まで、  中年を二十一歳から四十二歳まで、   晩年を四十三歳以後と定めている。    『人世の玄機は、 須らく先づ夫(か)の三主を観るべし』    (評訳)  人の世の玄機とは不可思議な見透し難い幽玄な機運というものは、  先づ夫(そ)の以上の言ったような、   初中晩の三主の運限から考えよと

〔三壬〕   さんしん。    腹の肉が豊かで横に三紋あること。  

〔三世〕   さんぜ。    過去世、  現世、  来世のこと。   

〔三尖六削〕   さんせんりくさく。     『三尖六削なるは、  縦(たと)え奸巧なりとも賎貧なり』     (評訳)  三尖とは頭準閣の尖小なるを謂(い)う    三尖とは頭が尖り、  鼻準(びせつ、鼻の先)が尖り、  地閣(下顎)が尖っていること。   この三ヶ所が尖ること。     (評訳)  眉に毛なく、  額に角がなく、  目に神(しん・力)がなく、  鼻に梁(りょう)がなく、  口に稜(りょう・唇の境)がなく、  耳に輪がない、   以上六削也     三尖と六削の者は例え狡賢く生きようとも、  貧乏で賤しく孤独で苦労の多い人生である。   

〔三台の宮〕    さんだいのきゅう。     (解説)  両輔骨(額の左右)と天庭との合称、   つまり額中一面のこと  天庭には①百三十部位の天庭(額生え際中央の天中の下) と、 ②額の正面、  の両方があるがこの場合は額の正面をいう。  

〔三台宮有黄光〕    さんだいのきゅうにこうこうあり。     『名成り利遂ぐるは、  三台の宮に黄光あり』     (評訳)  (三台は)両輔骨と天庭の合称、  つまり額中一面に黄光があるものは、  名利共に大成功すると也。    輔骨は額の正面の左右、  額の側面。   

〔三停〕    さんてい。      『三停とは、  額門(額)、  準頭(せっとう・この場合は鼻全体)、   地閣(ちかく・頤)、  此れ面部の三停なり。    又、  三主と為す。   俱に平等を要す。  上停長きは少年壮んなり。   中停長きは福禄昌(さか)んなり。    下停長きは老いて吉祥。    三停の平等なるは一生の衣禄(えろく)欠くること無し。    若し三停の尖削歪斜粗露(せんさくわいしゃそろ)なるは俱(とも)に利あらざるなり。   流年部位の気色を照らして推すべし。   一体(いったい・一ヶ所)にて断ずべからず』    『三停は以って三才に象る也。  上停を天に象り、 中停を人に象り、 下停を地に象る』    三停は天地人の三才(さんさい)でもある。    三つの区域、  三つに区切ること。   ①『面の三停は髪際から下、  眉間に至るを上停と為す。   眉間より下、 鼻(鼻準)に至るを中停と為す。    鼻準(びせつ)の下の人中より頦(おとがい・顎の先端)に至るを下停と為す』    顔面の三停は、  生え際から眉間までを上停、  眉間から鼻準(びせつ・鼻の先端)までを中停、  人中(にんちゅう)の上部から顎の端までを下停とする。    ②全身の三停は、  首根から上を上停、   胴体を中停、  脚を下停とする。    頭腰足を身上の三停とする   三停は何れも、  初年、 中年、 晩年、 の栄枯盛衰と、  智力、  意志力、  情愛、 と  天運、  自力運、  部下運などを現わしている。   

〔三停平等〕   さんていびょうどう。     『三停の平等一生衣禄に欠くること無し』    上停、  中停、  下停 が釣り合いよく整って豊かなこと。    三停が平等であれば、  一生衣食住に不自由がない。    

〔三白眼〕   さんぱくがん。     (解説)  眼形の如何(いかん)の係らず黒睛(こくせい・虹彩)が常に上下の一方に偏(片寄る)し、 眼中の三方に白を露呈するものを総じて三白(さんぱく)と言います。    四白(しはく)は別物。   その上下により上白(かみはく)、   下白(しもはく)に別つ。   何れも眼筋の上下の強弱あるに因るもので、  脳内に若干の異状あるを示す。    ソレが一時的にしても久しからず平常に復する者もある。    上三白(かみさんぱく)なるは魯鈍(ろどん)愚痴なる者多く、  下三白(しもさんぱく)は 機敏、  英遇、  果断 なれども、 馬早馬(かんば)なるが多く時にはキチガヒに成ることあり。    三白眼は概して酒呑みにて肝を傷め、  仁心を失いたるものの子孫に出る、   また耳の形に大抵欠陥あり。    夫妻を剋す、  また自らも短命なるが多い。   時に目の転動する場合にのみ、 三白の出るものがある、    これは三白とはいわず、  時に三白を露わす云々と称して、  その眼形によりて種々の結果を見るも、   刑剋は同じ程度にあります    黒目の上部に白部が多く現れるのを「上三白眼」、  黒目の下部に白部が多く現れるのを「下三白眼」 という。   下に白部が多少表れるのは目が清ければ純情な相となる。   

〔三陽火旺〕   さんようにひのおうずる。      『三陽に火の旺ずるは、 必ず男の誕るゝを主どる』     (評訳)   (この場合は)三陽は一つにて三陰を兼ねる。   乃ち左右の眼の下瞼を中心にその気色をいう。  火旺(かおう)とは赤き色なる意   三陽は男は左の下瞼、  女は右の下瞼を云うが、  この場合には三陽というだけで両下瞼のことを云っている。   三陰は男は右下瞼、  女は左下瞼。  妊婦の両下瞼に赤色が盛んであれば必ず男が誕(うま)れるという意味。  

〔山林〕   さんりん。    ①山林、 郊外ともに百三十部位の名。   額角付近に近き所なり、   額形によりて多少はその位置を異にする    この部位には山林に関することだけでなく、  不思議のことの現れる部位。    ②山林は眉の別称    眉を山林ともいう。   

〔山林骨〕    さんりんこつ。      『山林骨の起れるは、 終に神仙となる』     (評訳)  山林、 郊外ともに百三十部位の名、   額の角付近に近い所、   額の形により多少はその位置を異にする。   ここに言う額角(がくかく)とは俗書の百三十部位にいう額の正面の額角とは別物で額の角(かど)のこと     山林が立つ、  仙骨が立つ、 辺地が立つなどとも云い、 山林の骨が盛り上がっている、   起きていること。   眉尻辺りから額の角にかけて骨気があり盛り上がったように見える。    この人は終に仙人になると。  昔から仙骨が高い占い師はよく見ると言われている。    山林骨、  仙骨辺りには実際に不思議なことが現れる。  

〔三角眼〕    さんかくがん。      『眼もし三角の若(ごと)くあらば、 狼毒ありて弧刑なり』     (評訳)  平生に三角眼の人は自分勝手の強い、  また自分のためには可なり忍耐して労作にも従うが、  他のためには少しも仮借せず寛大のところはない。   三角眼は馬なら上等だが人にはよくない、   よく働き労作して得る所の少ない生涯を了る人である